HAPPY CARSABOUT "HAPPY"INFORMATIONPRODUCTSFOR SALECOLUMNLINKSTOP


COLUMN
BACK CONTENTS NEXT

Chapter.7 強すぎた者への「鎖」
(厳しいレギュレーションにマイスターカップへの出場が危ぶまれた)

 98年から始まったマイスターカップはその特殊なレースムードに人気が高まり、翌99年もシリーズ戦が組まれることになった。が、車両規定であるレギュレーションの内容には、まるで我がチームに対する規制のような変更が記載されており、一時、それこそ出場が危ぶまれる壁に直面していた。
image1  そのレギュレーションには、プロドライバーや雑誌リポーターの出場を認めないことや、47GTには縮小サイズとなるタイヤの横幅規制も含まれていた。要するに勝手な解釈だが、アマチュアのレースに職人ドライバーが参加することは“ダメ”、ロータス47GTが装着する幅広いタイヤは“ズルイ”といわれたような内容だったのである。
 我がチームは決して広告的な活動としてレース活動を行っていたわけではなく、純粋にロータスヨーロッパ本来の実力をアピールする目的だったため、そのレギュレーション変更には残念な気持ちが高まった。それだけに心の内は、「去年は速くてごめんなさい」のひと言につきた。
 とはいえ、世の中には“ムチ”があれば“アメ”も用意されているもので、この年のマイスターカップには、プロドライバー&雑誌リポーターが出場可能な「PROクラス」も新たに設定された。タイヤサイズに規制はあるが、ロータス47GTによるレース参戦の道が開けたことは正直いって感謝した。まして99年5月5日の開幕戦に出場する顔ぶれはル・マンの表彰台を獲得した土屋圭一選手や、GT選手権で活躍中の土屋武史選手の名前が揃い、レースに挑む魅力はより高いといえた。
image2  したがって、ライバルがその2名になるかといえば実際は違う。土屋圭一選手がドライブする「アルファプラス・エリーゼ」はシェイクダウンのため思うような走りができず、一方の土屋武史選手はジネッタG12を操り決勝を3位でゴールしたものの全力ではなかった。優勝候補といわれていた元F3レーサーが乗るアート23Bも、セッティング不調によるものなのかスタートできずにリタイアである。
image3  強敵として名乗りを上げたのは、フォーミュラ・トヨタのレース歴を持つ宮川選手の乗るマルカツ・ベックポルシェ。いわゆる550スパイダーの姿をした、レーシングモデルである。搭載するエンジンはポルシェの3.8リッターだが、そのポテンシャルは高く、ストレートの走りを見る限りでは47GTを若干だが上回る加速性能を示す。それを裏付けるかのように、予選は47GTを一歩リードしたポールポジション。タイムは100分の数秒の差でしかなかったが、決勝レースでの展開に不安を抱かせる相手に違いはなかった。
image4  実際その予感に狂いはなく、決勝のスタートはトップの座を奪い返してファーストラップを先頭で周回したが、マルカツ・ベックポルシェは一向に離れずにスリップへ入り込む。気が付けば、その後ろにはアート・セブンもぴったりとマークするトップ争いが展開された。しかもその3台のラップタイムは全車が1分を切り、それぞれが59秒台で走る超接近戦。すなわちドライビングのミスが命取りになるそうしたバトルが、レース中盤まで続いた。
 しかし以前にも報告したとおり、47GTのクセのないハンドリングは接近戦のバトルには強い。ドライバーがつねに主導権を握れるハンドリングのため、超ハイスピードのレーシング領域でも思いのままのコントロールを可能にしている。つまり、後続車にスキを与えない正確なライントレースが難しくないため、追撃を交わしつつトップを維持したままチェッカーフラッグを受けることができた。
image5  シーズン初めのレースということもあり、久しぶりに走らせた47GTのモンスター的性能には慣れが必要だったが、それでも59秒519のラップタイムを刻めたというのはまさに恐るべし実力だ。そう、フェラーリやポルシェをブチ抜くロータスの姿は、もはや、決して漫画の中のことだけではないように感じさせる。確かに現在GT選手権に出場しているマシンに勝るとは言わないが、充分に立ち向かえるだけのポテンシャルは備えている。あえて表現するなら、やはり「サーキットの狼」。筆者である池沢さとし先生にも、一度この47GTの走りを堪能してもらいたいものである。

BACK CONTENTS NEXT




HAPPY CARS I ABOUT "HAPPY" I INFORMATION I PRODUCTS I FOR SALE I COLUMN I LINKS I TOP