HAPPY CARSABOUT "HAPPY"INFORMATIONPRODUCTSFOR SALECOLUMNLINKSTOP


COLUMN
BACK CONTENTS NEXT

Chapter.4 伝説のマシン復活
(「ヨーロッパの可能性を追求すること」47GTでのレース参戦はそこから始まった)

image1
高野ルイ氏が駆る当時の勇姿
 サーキットにおいてストリート・モデルの熟成に確かな手応えを得たテクニカルショップHAPPYは、次のステップとして新たなレース参戦を決意した。そのマシンとして選出されたのはヨーロッパのレーシングスペシャル、ロータス47GTである。
 知っての通りロータス47GTは、ヨーロッパのデビューから3週間後の66年12月、ブランズハッチで開催されたレースにおいて2台がエントリーを行い、初戦ながら1-2フィニッシュを飾る輝かしい戦績を残してヨーロッパのスポーツイメージを築いた。日本でも高野ルイのドライブにより、69年の全日本選手権シリーズではチャンピオンを獲得、同年11月の日本グランプリでは総合9位、クラス優勝という好成績を納めた、いわば歴代のレーシングモデルである。
 テクニカルショップHAPPYの手に成る47GTはまさしく、あの高野ルイがドライブした実車そのもの。当時のロータスディラーだった東急商事から1983年頃に譲り受けたものを、現代のサーキットに蘇らせたというわけだ。ヨーロッパを相棒にこれまでレースを戦ってきた僕にとって、そのステアリングを握れるのは、もちろん感謝に近い喜びと言ってていいだろう。
 ただしレースに参戦するにあたっては、単純にロータス47GTを復元することを目標にしたわけではない。それだけでは、ミュージアムに展示されるクルマになってしまう。目指したのは完璧なレストアではなく、オリジナルに拘りながら現在に相応しい“レーシングスペシャル”を追求することだった。もちろん、これまでのレース経験で得たノウハウが、そこに踏襲されていることは言うまでもない。
image2  デビューレースを数日後に控えた筑波のテスト走行において、初めてその姿を現した47GTは、すっかり元の魅力を取り戻していた。しかし前述の通り中身は現代風のアレンジが施され、エンジンをみてもオリジナルのスチールブロックを使ったコスワースMk13の姿はない。搭載されるのは同じロータスツインカムでも、アルミ製ショートブロックをベースにハイコンプピストンを組み込み、FIプロフィ−ルカムシャフトも奢られ、そのパワーはオーバー200馬力を稼ぎ出している。
 足まわりについては、すでにご存知の通りフロントはダブルウィッシュボ−ンの形式のままだがリヤ−は通常のドライブシャフトがアッパーアームを兼ねる形式とは異なり、アッパーがI型、ロアが逆A型のアームで構成されるいわゆるダブルウイッシュボーンがリアに採用される。いわゆる当時のF2マシン、ロータス59のリアサスペンションそのものである。
 シャーシ性能に重要なフレームにいたっては、エンジンがリジットマウントした部分が注目できる。これはまさにフォーミュラーの手法といえ、エンジンをフレームの一部と考え剛性アップを狙うことができる。さらに各部の補強やガゼットを当てるなどして強化を図り、装着するフロント10J、リア12Jの極太AVONタイヤの性能を確実に受けとめる妥協ない設計が施されていた。
 細部に渡り拘ったスペックだけに、その走りも過激の一言。エンジンは4000回転以上を維持さえしていれば脅威的なトルクを発揮するため、12Jの極太AVONタイヤだって激しく白煙を上げてしまうほどである。しかも、吹け上がりが一瞬の出来事。3速ギアでもタコメーターに視線を飛ばすのが苦痛に感じるほど、その加速は過激なモンスターマシーンそのもの。
image3  コーナーにおける限界スピードだって次元が違う。おそらく数年前のF3と殆ど変わらない、恐ろしいスピード域まで誘い込まれてしまう。ただし、これまでのレース経験が活かされサスペンション設定は、そうした速域でもドライバーに不安を与えることはなかった。ハイスピードに対して緊張感は強いものの、タイヤを確実に接地させる安定感の高い挙動を提供してくれる。
 ハンドリングにおいても同様であり、ドライバーが手を焼くようなクセはない。ミッドシップのシャープな特性というよりも、どちらかといえば応答性はツーリングカー的な素直さがあり、ハンドル操作には気難しさがないと言っていい。ターンインにおいても意図的にドリフトアングルを正確に築くことも難しくなく、レースでは高い戦闘力として確信する要素でもあった。
 完成して間もない47GTだが、その完成度はすでに80%のレベルだったことを覚えている。しかしながら注文をつけたい部分も幾つかあったのも事実。ひとつはフロントタイヤの発熱が高く、周回が増すごとにグリップを下げる傾向にあること。さらにコーナー立ち上がりで、エンジンパワーにタイヤが負けグリップが奪われぎみのため、アクセル開度を狭めていた事が挙げられる。また、一部のコーナーにおいてギア比が合わずパワーバンドを外す場面もあるなど、今後の課題は多少なりに残っていた。

BACK CONTENTS NEXT




HAPPY CARS I ABOUT "HAPPY" I INFORMATION I PRODUCTS I FOR SALE I COLUMN I LINKS I TOP