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Chapter.24 〜進化の証〜
エンジンコンピューターの仕様変更がエリーゼの速さにより磨きをかける!

 HAPPYエリーゼのチャレンジはいよいよ本格的なシーズンインを迎え、先日そのスタートとなる2006年のエリーゼ・スーパーテック第1戦が、茨城県の筑波サーキットで幕開けとなった。
 我がチームの目標は、もちろん走り性能のさらなる進化。昨年の暮れに達成した1分切りに満足せず、58秒台のステージへと進化の手を休めずに進むことが当面の目標である。それゆえに開幕戦では好調なスタートを切りたい心境から、レース3週間前に事前テストを筑波サーキットで実施した。
 マシン状態の情報を何も知らされぬままサーキット入りした僕は、いつもとは見慣れぬ光景に出迎えられることになる。HAPPYエリーゼの車内にPCケーブルを引き込み、ノートパソコンの画面を確認するメカニック後藤氏の姿! それはGT選手権といった大規模レースのピットでよく目にする光景と変わらぬシーン。パソコン画面に注視しながらキーボドをたたく後藤氏の姿は、これまで予想もできなかったワンシーンである。
 もうすでに想像できる通り、氏がパソコンを相手に作業しているのは、データロガーを検証しつつ、それにともなったエンジンコンピューターの最適化だった。エンジンが全域でパーフェクトな性能を発揮するよう、パソコンを使ってリセッティングしてたのである。恐れずに表現すれば、後藤氏がコンピューターを使いこなすイメージはボクの中ではまるでゼロ! どちらかといえばアナログ人間のイメージが強い。キャブレターの名士といった印象も強かっただけに、その光景に違和感を覚えても仕方なかった。(後藤さんごめんちゃい!)
 しかし、いつもと違うピットの雰囲気を感じつつも、実は、心の中ではある意味で期待を膨らませていた要素がある。
 というのも昨年のエリーゼスーパーテック最終戦で、インジェクション化により筑波サーキットの1分切りを成し遂げ、大きなポテンシャルアップを果たしたHAPPYエリーゼではあるが、神経質な評価をすれば、インジェクション化によるエンジンは高回転域の吹け上がりにすっきり感がなく、どことなく燃調の不具合をみせていた。しかし、採用したインジェクションは、いわゆる「つるしもの」で自由にエンジンコンピューターを書き換えらないことから、最高のポテンシャルを引き出せぬ状況であり、走りを進化させる上でその対策が課題になっていたのだ。
 すなわちパソコンをいじる後藤氏の姿は、現在、エンジンコンピューターの書き換えが可能になったことを意味する。エンジンコンピューターの最適化を図れる体勢が築かれ、より理想的なエンジン性能の追求ができることに、僕は他ならぬ期待を膨らませていたわけだ。おそらく自己ベスト更新も不可能じゃない! そんな期待をである。
 ただ、エンジンまわりの変更を施したときには、予想だにしないトラブルがつきもの。インジェクションの司令塔として新たに採用したエンジンコンピューターは、有名ブランドであるMORTEC製。多くのレースシーンでも使われる実績の高いコンピューターだが、エリーゼのKシリーズエンジンへの搭載は事例が少ない。そのことも影響したと思われるが、タイミングセンサーの不具合からか、約6000rpm付近を境に燃料が何度かカットされ、エンジンがすっきり吹け上がらない状況であり、この日は心残りのテストに終わってしまったわけだ。
 MORTEC製コンピューターの効果は、レース当日に知ることになった。半信半疑で予選のアタックに入ってみたが、例の6000rpm付近からエンジンがバラツク現象は解消されており、さらに高回転域におけるトクル感は従来を上回る成長をみせたほど。
6000rpm以下についてもアクセルレスポンスの向上が図られていたなど、エンジンは全域に渡って大幅ではないにしろポテンシャルアップを果たしていることから、自己ベスト更新が脳裏を走ったことは言うまでもない。
 しかしながら、記録を塗り替えるには条件がドンピシャに合わなかった。アタック中にクリアラップを取れなかった原因もあるが、さらに装着タイヤのコンパウンドをいつものソフトではなくミディアムへ変更したことの影響が少なくない。5月ともなれば稀に夏日の広がることも考えられるため、ソフトコンパウンドではもって3周、15周の決勝レースでは後半タイヤがずるずると滑べる状態に追い込まれるため、ミディアムを選択していた。ところがミディアムコンパウンドは、搭載エンジンの230psというポテンシャルを相手に悲鳴をあげたシーンが少なくない。とくにコーナー立ち上がりではリアタイヤの滑りも早いタイミングからあらわれ、アクセルを積極的に踏み込むことが許されず、しかもフロントの旋回力も減少傾向にあった。
 満足とはいえないそうした条件でのベストラップは、1分00秒254。自己ベストよりもコンマ3秒ほど下回るだけに、いつもとおりソフトコンパウンドをチョイスしていれば...、と、これから気温が高くなることを考えてしまうと、そうした反省がなくはなかった。
 いうまでもないが決勝レースについては、ミディアムコンパウンドの恩恵に終始し感謝のひとこと。重量が軽いフロントはタイヤグリップが充分になるまで4周ほど時間を必要としていたが、15周のレース距離にはベターな耐久性能である。もっとも10周を過ぎたあたりからリアタイヤの熱タレが目立つように推移したが、スタートからゴールまでを安定したラップタイムで走りきれるのはありがたい。ソフトコンパウンドでは、4周目からグリップが下がり始め、15周のゴール間近では大幅にスピードのペースダウンを必要としていたので、精神的な余裕度にも大きなマージンを築きつつの決勝レースだった。
 決勝レースでは耐久性能の高さを伺わせる圧勝的な速さを結果として残したが、記録更新にならず不完全燃焼となっただけに、次にかける期待はいつも以上に大きい。しかも進化につながる車両アレンジも、このレースでいくつか発見があった。それは、エンジンパワーをより無駄なく行かせるシャーシチューニング。おそらく現状のポテンシャルで考えると、ソフトコンパウンドを装着してもグリップが物足りないコンディションといえるからだ。コーナー立ち上がりで、よりアクセルを踏み込めるシャーシ性能を確保できれば、58秒台もそれほど遠い話しではない。そのためには、アライメントの見直しやサスペンションの仕様変更、さらにはトレッドのワイド化など、考えれば手段はいくつも発想として頭に浮かんでくるが、いずれにせよ、速さに磨きをかける上で今後必要といえる要素になるだろう。
 とはいえHAPPYエリーゼは、着実に進化をみせているのは確か。レース中の平均ラップタイムも一段と速くなっていることや、ハンドリング面にも限界域を維持しやすいコントロール性の良さが向上をみせている。ひとまず気温が暖かくなるこれからの時期は車両の熟成化にまわすが、レースシーズン後半戦を迎えたときには記録を塗り替えたく思う。そのころにはパソコンをいじる後藤氏の姿も、おそらく自然に感じることだろう。

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