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Affair.2 熟成の時
(ツインリンクもてぎはドライビングを再確認する場となった)

image1  晩秋の週末、「ネコ・ヒストリック・オートモービル・フェスティバル」がツインリンクもてぎで開催され、例年通り、会場は多くの名車で埋め尽くされた。第3回を迎える今年も、テクニカルコースの走行会や模擬レース、歴代F1マシンのデモンストレーション走行が行われ、多くの車趣味人の心を高鳴らせていた。
 私も実は、心を躍らせていたひとり。というのも、久しぶりにロータス59のステアリングを握れる機会を得たためだ。筑波サーキットでは59秒台のタイムを記録するマシンではあるが、実にコントローラブルな特性を持つあたりに魅力を感じている。スピード域が高いツインリンクもてぎにおいても印象はかわらずで、マシンを自在に振り回しているようなスッキリ感を味わえる。
image2  それだけに一緒に走行を行った他のフォーミュラーに比べても、きっと楽しそうに見えたに違いない。ラルトRT-3やレイナード92という比較的新しいフォーミュラも走っていたが、ロータス59の走りにはヒストリックであることは意識する必要がなかった。機動はダイレクトだが限界付近が判りやすく、しかも、いざテールが流れ出してもコントロールの範囲からは外れない、そんな積極的な走りも可能にしている。そのため、この走行では心を躍らせても仕方なかった。
 もっとも、心を躍らせたのは他にもある。実は、イベントの今年のテーマは「ロータス」と「アルファロメオ」。ロータス・ファンにとっては、例年以上に楽しめる企画構成になっている。「ロータスカップ」や「ヒストリック・スポーツカー・カップ」、「ル・マン24M」など、エントリーできる模擬レース数が昨年よりも多く用意 されていた。

image3  なかでも興味を高めたのは「ロータスカップ」。文字通り、ロータス車オンリーの模擬レースだが、その参加車両に興味を奪われた。MKシリーズや23B、26R、セブン、ヨーロッパ、エリート、エスプリなど、その歴代の名車に囲まれサーキットを走れる機会は、とにかく貴重に感じられた時間。いつしかレースであることを忘れ、ロータス・ミュージアムを47GTで走っているような魅力的な気分に酔いしれてしまった。
 また、この模擬レースで確認したことでは、ロータスのオーナーは、誰よりも「走りがアグレッシブ」であること。とくにその傾向が強いのはヨーロッパに乗る人たちで、たとえばタイヤをロック状態まで持ち込むハードブレーキングや、リアタイヤをコースサイドのダートに入れつつコーナーを立ち上がるなど、激しいシーンが耐えないから驚くばかり。ヒストリックカートとはいえ軽量シャシーのメリットを活かし「マジで走りを楽しむ人達」、それがロータスのオーナーに思えた。

image4  もちろん、47GTのステアリングを握る私としてもドライビングに妥協はなかった。イベントこどに止まらずに、本番レースに迫る集中力を高めていた。というのも、この「ネコ・ヒストリック・オートモービル・フェスティバル」は、自分自身のドライビングを見つめ直す良い機会になっている。たとえば、47GTをコントロールするドライビング能力が、この1年間でどれだけ成長しているか、そしてサスペンションセッティングなどの熟成をどれだけ薦められたか、それを確認する上で、このイベントは重要な意味を持っていた。
 コースレイアウト的にもツインリンクもてぎは、筑波よりも一段とテクニカル。車速も高い。ここを舞台にどのレベルまで限界性能を引き出せるか、それはドライバーとしての真価が問われるひとつの要素。したがって、模擬レースでは勝敗を気にするよりも、ツインリンクもてぎにおいて、どれだけのラップタイムを残せるかが、私にとっては大きな課題となっていた。昨年のラップタイムを何秒更新できるか、それがテーマだった。

image5  その答えがまず見えたのは、「ル・マン24M」という模擬レース。ル・マン24時間耐久レースに出場した歴代の名車が中心に参加して、24時間ならぬ24分間を駆け抜ける内容だ。参加車両にはフェラーリ250TRや333SPといった名車からF50GTのような現代のスーパースポーツまでが揃い、他にもアルファロメオティーポ33TT12、シェブロンB8&B16、コスティンネイサン、BMW M1、アルピーヌA210、シェルビーコブラ289、ジャガーXKEなど、実績あるマシンが集結。しかもポルシェ勢には昨年このイベントで歯が立たなかったポルシェ917Kも参加していた。
 しかし今年は食い下がることはなかった。
トランスミッションのギア比は昨年同様に筑波仕様のままだったものの、このレースではポルシェ917Kに追従。ストレートではリードを広げられるがコーナーの続くインフィールドでは巻き返すと行った展開により、スタートから5ラップまでスリップに入れたほど。途中タイヤにトラブルを抱えスローダウンを余儀なくされたが、今年は一段と47GTに「乗れてる」感触を実感できた。

image6  「ヒストリック・スポーツカー・カップ」においても、その感触は薄れなかった。33台の参加マシンの最後尾からスタートして、上位に上り詰めるまでにストレスはない。ツインリンクもてぎはブレーキにとって条件の厳しいサーキットのため、さすがにフェード現象がみられたが、最終ラップの5周目には4番手のポジションを獲得。満足のいくレース展開が進んでいった。
 ただ、問題は最終ラップ。参加車両は前述した「ル・マン24M」とさほど変わらないが、ただ上位を走る中にはレース経験者がステアリングを握るジネッタG12やシェブロンB23などの姿もあり、たとえばコーナー立ち上がりでは微妙にテールを滑らせ絶妙なコントロールを決めるといった、本番さながらのドライビングを披露していた。
 もちろん抜くのは簡単ではない。結局のところ、サイドバイサイドのバトルに発展。最終ラップの後半セクションで3番手に浮上したしたものの、それ以上のポジションアップは果たせなかった。シェブロンB23とジネッタG4に上位を譲ってしまったが、しかし、レース中のベストタイムは昨年同様に47GTがトップ。2分7秒272の記録を残すことができ、前述の通り今回の目的であるラップタイム更新が達成できた。99年のレース活動は、無駄ではなかったということである。

image7  この日、日本グランプリで47GTのメカニックを担当していた人が、ピットに訪ねてきてくれた。ポルシェ917Kを追い回す場面など他を寄せ付けない47GTを見て、たまらずピットに立ち寄ったという。確かにエンジンやミッション、そして足まわりにいたるまでそのポテンシャルは、現代のピュアスポーツにだって負けないレベルに達している。そのことを目のあたりにしたのだから無理もない。その人は、「ヨーロッパは現在も華ですね」との言葉を残してピットを去っていった。
 新しいミレニアムを迎える翌年、47GTはさらに記録を塗り替えるに違いない。マイスタープロの戦列をリードする、その光景に変わりはないだろう。


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