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Chapter.14 確信
(ライバルが認めるほどの完成度、徹底した軽量化で戦闘力が大幅にアップ)

image1  お盆休みの最終日となった8月19日、真夏の猛暑のなかマイスターカップ第3戦は開催された。
 すでに承知と思うが、このシリーズは個々数年の間に、全日本選手権なみに高いレベルのレースに発展している。筑波におけるコースレコードは56秒台にまで短縮され、ドライバーをはじめ、マシン性能もGTマシンに迫るレベルに到達。そのため無敵と呼ばれていたハッピー47GTにとっても、楽勝ムードではなくなった。第1戦、第2戦ともに2位の結果に納まり、優勝の指定席をこのところ奪われてしまっている。

 しかしながら、今回のレースでは“王者”の名に相応しいマシンポテンシャルを発揮していたと言っていいだろう。結果を急げば、決勝は3位というポジションだが、47GTが備えるケタ外れに高い戦闘力はレースを見守る観客に強烈にインプットされたに違いない。
入賞の喜びに浸るチームスタッフの群れにあらわれ、ライバルチームであるマルゼンセブンの監督が思わず口にした次の言葉からも、その内容が容易に想像付くと思う。
image2 「今日の47GTは、めっちゃ速かったですね。とくにインフィールドが速くて、うちのドライバーが焦ってましたよ」
「20年以上もレースをやってきましたから、わかるんですよねマシンの成長ぶりが。今じゃ、マイスターカップで1番の速さですよ」
「今回はタナボタで勝たせてもらいましたけど、次回はハッピーさんがまずブッチギリでしょうね・・・」
 マルゼンチームは、以前にこのコラムで報告している通り、マイスターカップの今年のポイントリーダー。開幕戦からここまでの2戦で、立て続けに優勝をさらっていった最強チームである。そのチームの監督が最後に、「今日はホントに良いもん見せてもらいました。ありがとうございます。」と感激の心中を話すほど、47GTの走りは輝きを放っていたという裏づけだ。

 正直なところ、47GTは前回までとは確かにマシン仕様が大きく異なる。前回のレースで確認された不具合を解決すべく、さらにマシン・ポテンシャルが高められているのだ。
 そのひとつは軽量化。2位に甘んじた前回のレースでは、コーナーでトップのマシンを追い詰め、ストレートで引き離される展開だったことは前に報告した通り。前回、エンジンを乗せ変えパワーは上がった。しかし、エンジン重量も増えていたため、ストレート・スピードの向上が思いのほか低かったため、徹底した軽量化に踏み切ったのである。
image3  そこでまず考え出されたのは、ボディに可能な限りカーボンファイバーを採用して軽量化するという、大胆な手法。従来のFRPボディにしろ軽い素材だが、エンジンフードおよびフロントフード、そして左右のドアをカーボンファイバーに変更された。
これによりエンジンフードは5.8kgから2kgに、フロントフードは6.8kgから2.9kg、左右のドアは1枚あたり5.8kgから2kgに重量が大幅に削り落とされたのである。
image4  さらにハッピーは、軽量化をする上で妥協は許さなかった。ボディのカーボンファイバー化にとどまらず、なんと1本のビスにまでこだわる徹底ぶり。ロールバーなどに使用されていたスチール性のビスを、すべて超々ジュラルミンに変更するほど軽量化に余念がない。さらにオルタネーター、スピードメーターといった、15周のバトルに必要でないものも淘汰された。結果的に、軽量化によるマシン重量はマイナス50kgの大幅ダウン。ライバルのスーパーセブンに比べ、それでもまだ約100kgは重量増だが、確実にウエートハンディを減少できたことになる。

 また、今回のレースに向けては、他の部分にも改良のメスを入れている。ブレーキまわりではマスターシリンダーをひとまわり大きいサイズに変更。制動力の向上は大きくせず、ブレーキのコントロール性を高められた。そして、ショックアブソーバーはアップグレードされ、バンプとリバンプの減衰力調整が別々に行えるものに変更。調整の自由度が広いため、まだまだセッティングの余地が残っているものの、従来のものと比べて路面の追従性に優れ、サスペンションの動きも一段と滑らかさが得られたようだ。ショックアブソーバーの変更に合わせてアライメントもアレンジするなど、運動性能面の強化も今回は施されたわけだ。
 それだけにライバルチームの監督までも感激させる走行性能を披露できたこともうなずける。走行性能は間違いなくワンランク成長しているのだ。まして、その成長ぶりは、この第3戦のレース展開を報告すれば、さらに理解度が高まるはずだ。
 予選はエンジントラブルに襲われ、本来の性能を発揮できず、1分5秒台というタイムでストップ。47GTが参戦する250クラスでは約7秒は遅いその結果で予選を終え、決勝は200クラスや170クラスの車両に混じり、12番グリッドからのスタートとなった。

image5  しかしながら、決勝では観客の視線は47GTに釘付けになっていた。スタート直後、1コーナーまでの短い区間で47GTは一気に7台のマシンを抜き去り4番手にポジションをアップ。いわゆるゴボウ抜きを演じ、同クラスのアートセブンの背後に迫り寄った。2周目にはその距離をさらに詰め、3周目にはアートセブンをパス。4周目には、今年2連勝を獲得しているマルゼンセブンに対して、テール・ツー・ノーズの接近戦に持ち込むまで、猛烈な追い上げを見せたのである。
image6  そして5周目。観客が息を飲む瞬間を迎えた。いつも周回遅れとなってしまう170クラスに考慮して、今回から250クラスにはレース中に10秒間のピットストップが命ぜられ、そのレギュレーションを実行するべく47GTがピットへと飛び込んできた。このピットストップは、いわば勝敗のカギ。ピットロードまでの進入路でタイムロスをいかに無くせるか、そしてピットアウト後は本来のペースをいかに速く取り戻せるか。それにより、順位の変動が予測できるため、気を抜けない場面であった。
 その場面を無駄なくクリアーした47GTは、まさに幸運を手にした。ピットアウトした2周後、あとから10秒間のピットストップを行ったマルゼンセブンがコースに戻った時には、47GTが先行。しかも10秒以上の大差を付け、2位のポジションを奪い取るドラマチックな展開となったのだ。そう、観客の誰もが興奮を隠せない、クライマックスともいえる見のがせないシーンだった。

 もっとも、このピットストップが助け舟となったことは確かだが、観客の目には、また違った展開が映っていたはずだ。それは、「ピットストップが無くても、おそらくマルゼンセブンを抜き去っていただろう」といった、そんなレース展開をだ。47GTの実力は、それだけ高かった。コーナーリングスピードは以前よりもレベルが高く、それでいて立ち上がりでのトラクションも向上している。しかもトップスピードも大幅にレベルアップを果たしているほどだ。まさにその走りに無敵の性能を感じ取っていたに違いない。
image7  したがって、今回は3位の結果にとどまってはいるが悔しさはない。その後のレース展開は、中盤にトップを走る位高氏のジネッタ12が1コーナーでコースアウトしたことで、一度は1位まで上り詰めた。が、左ドアのストライカーがゆるんでドアがあいたまま走行している47GTに対して、オフィシャルから修復のためにピットストップが指示され順位を落とす結末となったものの、マルゼンチームの監督が言うように、マシンの完成度には満足度が高く、まして見る者を興奮させるレースが演じられたことに、僕は充分に酔いしれた。
image8  しかも47GTは、まだ100%の実力を出し切ってはいない。エンジンがパワーアップされたことで、ギア比が合わなくなっている。例えば、中速コーナーやストレートで、エンジンが吹け切ってしまう場面があるということ。レース直前で5速ギアを変更して対策は打てたが、4速ギアで吹け切ってしまう場面がまだ残っている。もちろん、これはタイムロスにつながるため、改善されれば目標である57秒台に誘い込むのも無理ではなくなる。サスペンションのアライメントもアレンジのしようがあるなど、マシンは正直なところまだまだ成長途中だ。したがってセッティングが頂点に達したときの47GTのモンスターぶりを体感できることを期待している。

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