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Chapter.12 激闘の予感
(自己ベストを更新したもののライバルの成長は予想以上だった)

image1 3月25日。21世紀の初年度を飾るマイスターカップ第1戦が、茨城県の筑波サーキットで開催された。いつもは晴天に恵まれることの多いこのレースだったが、この日は早朝から厚い雲が空を多い予選の始まるころには雨が降り出す悪天候に珍しく見舞われた。
 開幕戦はどのチームもマシンのポテンシャルを向上させてきていることが多いため、ピット裏のスペースでは、ライバルの情報を探る姿が恒例だ。優勝候補である我々ハッピーロータス47GTに対しても関係者の感心が高いため、やはり噂になることが多い。
image2 ただ、その関係者の群れに挨拶かたがた顔を出してみると、今年に限ってはマシンではなく、僕の怪我の話題にまずは花が咲いてしまったのである。ご迷惑をかけた関係者には改めてお詫びを言わなければならないが、知っての通り昨年は、シーズンの途中で右足のヒザを複雑骨折する怪我を受けたため、レースへの参戦を断念。その怪我に対する気づかいを、ライバルのドライバー達が行うのだ。

「怪我は完治したんだ。よかったね」
「でも残念。また順位が下がっちゃうな」

会話の大半はそのように激励を受ける内容ばかりだったが、ライバルとそんな親しい関係に成れていることは嬉しいものだ。ドライバーとしてプロを目指す入門カテゴリーではそうもいかないだろうが、マイスターカップというレースにはイギリスのサンデーレースのような暖かみがある。その一選手として参加できていることに、喜びを感じるそんな開幕戦となった。

image3 もっとも、そうそう呑気な気分に浸っていたわけでもない。知る人も多いだろうが、47GTが欠場した昨年の後半戦では、ライバル達のポテンシャルが一段と高くなっている。今回の開幕戦には欠場していたが、ジネッタG12の位高選手はなんと56秒台に突入しており、アートセブンの大山選手にしても57秒台前半を記録しているとか。さらに徐々にポテンシャルを高くしつつあったマルゼンセブンの中村選手も、57秒フラットのベストラップを頻繁にマークしてるという噂である。
正直なところ、ライバルのそのタイムは恐ろしく驚異的だ。とくに位高選手の56秒台は、国内ツーリングカーのトップカテゴリー、GT選手権に出場しているスカイラインGT-Rに迫る怪物的な速さだ。58秒中盤がベストラップである47GTにとっては、嬉しくない話なのは言うまでもないだろう。幸いこの開幕戦にはそのライバルの姿がなく、エントリーしてたのはマルゼンセブンの中村選手だけなので救われたが、今シーズンは勝利を簡単に獲得できないことを想像させた。

image4 かくして迎えた開幕戦の予選は、路面をしっとり濡らすウエットコンディション。ひとつ前に行われた他カテゴリーの予選では、コーナーのいたるところでスピンに陥るマシンが目立つほど、路面はグリップを簡単に奪う状況だった。
しかし47GTにとってのウエットコンディションは、予選制覇を狙う上で願ってもない最高のシーンといっていい。ハイパワーのマシンは、とかくウエット路面でジャジャ馬的な特性といわれるが、そんな一般的な尺にあてはまらないのが47GTである。その理由はサスペンション。確かにドライ路面ではロール量が大き目ではあるが、ウエット路面ではとくにコントロール性に優れる柔軟な特性を自慢にしている。アンダーやオーバーといったステア特性が発生するときも滑らかで、その動きそのものも予測が付きやすい乗りやすさがあるのだ。
image5 そのことは予選結果を見てもらえば納得が速いと思う。ドライ路面では57秒フラットの快速を見せるマルゼンセブンに対して、約2秒近く速い1分7秒946を記録。これは、まさしくウエット路面でも次元の高さを誇るという優れた走行性能の裏づけ。マイスターカップでは滅多にない悪天候を見方に付け、開幕戦のポールポジションを獲得したのである。幸先のいいシーズンのスタートをきれたわけだ。

ところが肝心の決勝レースでは、威勢よく降る雨もすっかりやんでしまい、路面は完璧なドライコンディションに一転。予選の喜びもつかの間で終わってとしまった。というもの、しつこいようだが、マルゼンセブンは57秒台というベストラップを持つマシンだ。ドライ路面となった決勝では、間違いなくイケイケの走りで迫ってくるだろう。これまで直接バトルをしたことのない相手だけに、コーナーが速いのかストレートで伸びるのか、そうした情報も持ち得ていない。掴みどころのない相手に、不安は覚えないもののイラダチを感じていた。

image6 12時30分。いよいよ決勝レースがスタートした。手足のような操りやすさがある47GTは、理想的なトラクションを発揮しつつ豪快なダッシュを見せ、1コーナーをトップで駈け抜けていく。そのままオープニングラップは戦列をリードしながら、周回を重ね2番手のマルゼンセブンを引き離しにかかっていく。しかし、マルゼンセブンは簡単に食い下がらなかった。むしろジワジワとその距離を詰め、7周あたりには、テールにぴったり張り付きスリップに入り込んでいた。
もちろんこの時点までくれば、相手マシンの特徴がはっきり見えてくる。細かく説明するとストレートの加速はほぼ互角。手前のコーナーの立ち上がりがどうだったかで、ストレートの加速は伸びが多少かわってくる程度だった。得意な場面にしているのはコーナーである。シャシーバランスに優れているようで、コーナーでの旋回スピードがずいぶんと速い。アクセルを踏み込みコーナーを立ち上がるときのステア特性も素直なようすで、悔しいかな脱出スピードは47GT上回っているといっていいだろう。
image7 したがって、コーナーの脱出がいいければストレートではスピードの伸びも良くなるため、その後に続くコーナーの進入がバトルを仕掛けてくるポイントととなることは、あるていど想像が付いていた。実際トップを譲ることになったのは、やはりコーナーの進入場面。ホームストレートで距離を詰められ、1コーナーの進入でイン側を奪われるという結末が待っていた。やはり足を怪我しているからといっても、レースの世界では情けは禁物ということなのだろう。

とはいえ悪い話ばかりでもない。決勝レースではスタート後の5周目に、冷えた気温も手伝って、これまでの58秒中盤のベストタイムを更新する58秒072を記録。しかもレース中は、つねに58秒台をキープするポテンシャルを見せつけた。昨年はシーズンの半分の期間でしかマシン・セッティングを行えなていないが、今回の成績を見る限りでは着実な進化を続けているといえるだろう。今後はサスペンションの見直しやエンジンまわりのグレードアップを計画するらしいので、さらなるタイム更新が期待できるに違いない。2001年シーズンは、また新たな記録が誕生しそうな1年になりそうだ。

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